その身を修めんと欲する者は、まずその心を正しくす。
その心を正しくせんと欲する者は、まずその意を誠にす。
その意を誠にせんと欲する者は、まずその知を致す。
知を致すは物に格(いた)るにあり。

正心誠意、格物致知の語源となった言葉です。
「修身済家治国平天下」のとおり、良い国を作るためには、まず自ら「修身」することが基本となります。ここではどのように「修身」すれば良いかが説かれています。

「修身」=自分の徳を高めるためには、まずは正しい心をもつこと、正しい心とは人を思いやり慈しむ心で、いついかなる時にも邪念が入り込まないよう訓練することでしょう。
人間は弱い物で、頭ではわかっていても心にまったく邪念が入り込まないようすることは大変難しいことです。
この「心を正し、意を誠にする」には、自分に必要な知識や知恵、判断力を身につけることで可能となります。
「必要な判断力を身につける」のに必要なのは「格物」すなわち物事のどおりを的確に見極めることが大切である。

ちなみに「格物」は朱子学では「物にいたる」と読み、「個々の事物の理を究明してその極に至ろうとすること」」と解釈されていて、陽明学では「物をただす」と読み、「対象に向かう心の働きを正しく発揮すること」と言われています。