山田方谷に学ぶ会、高梁方谷会、大佐方谷会、方谷さんを広める会では、郷土の偉人山田方谷の事蹟を多くの方々に知っていただくための活動の一環として、これまでカレンダーの制作を続けています。

2018年のカレンダーには、江戸で佐藤一斎の塾に学んだ方谷が、天保7(1836)年9月、塾を去る際に、一斎から贈られた書「盡己」(わが誠心を尽くす)をとり上げました。

方谷は入門間もない頃、新見藩儒の木山楓渓に宛てた書状で、「(一斎先生の)指導方針は先ず大いなるものを立てて華美を去って実質に就き、天の賦与した人間性と道徳の根源を探求し、ここに梧入するにあります。日々その教えを聞くのが楽しみです」と綴り、良き師にめぐり逢った喜びを伝えています。

佐藤一斎は、昌平黌の儒官を務めた、江戸後期を代表する儒学者です。方谷生涯の師丸川松隠とは大坂の懐徳堂で机を並べていました。一斎塾には、佐久間象山、渡辺崋山、横井小楠、池田草庵など幕末に活躍した天下の俊英が集っており、彼らとの切磋琢磨の中で方谷の学問も人間もより鍛えられたことでしょう。

「盡己」とは、まさに“人間方谷”を象徴した言葉だと思います。