昼は仕事、夜は学問と日々忙しい方谷に朗報が飛び込む。

村長を通じて藩庁に呼び出された方谷は、図らずも一通の沙汰書が与えられる。

「農商の身ながら文学の心が目が良いと効いた、二人扶持とし、藩校有終館に入学すること。」

信じられない出来事だった。松山藩主板倉勝職が方谷の噂を聞きつけ、給料を与え藩校への入学を許可した。
これは松山藩への登用が約束されたものだった。方谷21歳の時である。
そんなころ、進が身ごもる。