人生の不幸は不意にまいこむ。
14才の方谷の元に届いた知らせは「母危篤」という物だった。いても立ってもいられない方谷はすぐに親元に向かう、しかし、やっとあえた母の口から出た言葉は

「私のことは心配しなくていい、おまえには学問の道がある。ぐずぐずしないで、すぐに丸川先生の元に返りなさい。」

その10日後、再び方谷の元に届いた母危篤の知らせ、息も絶え絶えにようやくたどり着いた方谷を待っていたのは行灯に照らされたものいわぬ変わり果てた母の亡骸だった。

母の死後、方谷に家業を継がそうとする父に対し師丸川松隠は何とか方谷にこのまま学問をと懇願、そして不運不幸は度々起こる。働きずめの父が母をおうように死んだ。