平成17年6月26日日曜日、高梁総合文化センターにおいて第2回山田方谷シンポジュウム「雲中の飛龍・方谷先生の思いをかたちに」が開催されました。
シンポジュウムではまず、岡山大学の名誉教授で漢文の研究者でもある廣常人世先生により、山田方谷の漢詩の解説の講演が行われ、次いで高梁高校コーラス部による合唱、ドリカムの2曲に続き、今回のコーディネータでもある小野晋也先生作詞作曲による曲「大きな人の歩いた道」が披露されました。この曲、昨年6月のシンポジュウムでも披露されたのですが、私(はれは)は前回聞き逃したので今回が「お初」となりました。
初めて聞いた感想ですが、非常によい曲でした。とてもあのごついイメージの(失礼!)小野先生が書いたとは思えないような美しいメロディで正直感動しました。この曲に関しては基調講演された鍵山先生も大絶賛で「聞いていて涙が出た」とおっしゃっていました。近日中に開場のビデオがネット配信される予定なので、是非聞いてみてください。
高梁高校コーラス部の合唱に続いては、吉備国際大学演劇部による現代劇「日本に捧げる報告」が上演されました。ストーリーは、社会に不満を持つ主人公の「学者」が爆弾を搭載した「陽子(ようし)ロボット」と「方谷ロボット」を作って3っつの勝負させ、日本の行方を占うというストーリー。勝負の内容は使命感喪失や不登校を解決できるかというもの、演劇で山田方谷を表現するという難しいお題を見事に表現していました。
そして、いよいよ鍵山秀三郎先生による基調講演「心のあるところに宝あり」が始まりました。鍵山先生は実践として地域のため、人のために自身の力を使ってきた方で、映画「てんびんの詩」のモデルになった方でもあります。
講演では方谷先生は偉大な改革を行った、通常人は自分のやったことを評価されるとそれが糧となる、しかし、大部分は自分が一生懸命したことでも評価されず、多くの人は投げ出してしまう、方谷先生も改革中、評価どころか批判や中傷を受けむなしい思いもしてきただろう、しかし改革は小さいことの積み重ねで、それを成し遂げたところに方谷先生の偉大さがあると、またご自分は自分を生み育ててくれた先祖を尊敬しており、自分も子孫に尊敬されるよう日々努力していると講演されました。
僕としても非常に感銘を受けました。
「山田方谷先生」というテーマでいろいろな講演を聴いていますが、僕的には今回の講演が一番自分の持っている方谷像と合致しました。というのも僕は自営業に身を置いており方谷先生を知る前からいろいろな勉強会などで「店」の在り方という物を学んでいました。その中では「商売十訓」というのあり、披露すると
一、損得より先きに善悪を考えよう
二、創意を尊びつつ良い事は真似ろ
三、お客に有利な商いを毎日続けよ
四、愛と真実で適正利潤を確保せよ
五、欠損は社会の為にも不善と悟れ
六、お互いに知恵と力を合せて働け
七、店の発展を社会の幸福と信ぜよ
八、公正で公平な社会的活動を行え
九、文化のために経営を合理化せよ
十、正しく生きる商人に誇りを持て
という物です。
方谷先生を知ったとき、この人はまさに真の商売人だと思ったのを思い出します。今回の鍵山先生の講演はいろいろな意味で初心を思い出すきっかけとなりました。
どんどんシンポジュウムから話がはずれていきますが、いろいろな講演を聴いていて面白いなと感じたことがあります。それは、講演しているその人の立場や職業によって方谷先生の見方やベクトル、取り上げるポイントがちょっとずつ違うな、と思う点です。
学者や教師の方の講演と政治家先生の講演、作家の先生の講演、商業人の講演、方谷先生はそのどれもに当てはまるのですが、立場によって見事に最も力をいているポイントが違っています。これは機会があれば一度詳しく顕彰してみたいと思うのですが。
さて、そんなことで商業に身を置く物としては鍵山先生の講演はストライクだった僕ですが、その後のシンポジュウムでもまたしても深く考えさせられました。
シンポでは引き続き・鍵山秀三郎先生(日本を美しくする会会長)・野島透先生(「山田方谷に学ぶ財政改革」著者)・中江彰先生(中江藤樹記念館館長)・横田賢一先生(山陽新聞社)・加古一朗先生(高梁市文化交流館学芸員)によるパネルディスカッションが行われ、中江彰先生は陽明学の泰斗・中江藤樹先生を紹介し致良知について解説され、野島透先生は今の社会は弱肉強食が当たり前になりつつあるが、これからの社会保障など問題山積の社会は良知などの発想が重要と語られ、横田賢一先生は読み書きそろばんが教育のハードならばソフトは感動である、子供達に方谷顕彰の機会を作り感動を与えるようなことをしてほしいと、加古一朗先生は「方谷先生は生涯考えることを辞めなかった先生である」という研究結果を発表されました。
また、シンポジュウム終了後は交流会もあり、大変有意義な一日となりました。
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