上に悪(にく)む所、もって下を使うなかれ。
下に悪む所、もって上につかうるなかれ。
前に悪む所、もって後ろに先んずるなかれ。
後に悪む所、もって前に従うなかれ。
右に悪む所、もって左に交わるなかれ。
左に悪む所、もって右に交わるなかれ。
これを 絜矩の道(けっくのみち)という。
「大学伝十章」

上司に嫌なところがあれば、部下に同じような態度をとってはならない
部下に嫌なとことがあれば、上司にそれと同じような態度をとってはならない
先輩に嫌なところがあれば、後輩にそれと同じような態度をとってはならない
後輩に嫌なところがあれば、先輩にそれと同じような態度をとってはならない
右の同僚に嫌な態度をとられても、左の同僚に同じような態度をしてはならない
左の同僚に嫌な態度をとられても、右の同僚に同じような態度をとってはならない
これを「けっくの道」という。

あまり解説は入らない言葉ですね、これを「絜矩の道」と言います。
絜矩の道を辞書で引くと「自分の心を尺度として,人の心を知る道徳上の道。思いやり。」
となります。ここでも出てくるのは「思いやり」=「恕」=「誠意」で儒学の根底は思いやりであることが深く伝わります。

江戸時代、今よりももっと儒学が生活の中に溶け込んでいた頃には日本人は今よりもっと思いやりにあふれていたんではないでしょうか。