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2017年は大政奉還150周年にあたる年です。
150年前、激動の時代のなか方谷は6月、老中勝静を補佐するために京都におもむきます。
方谷は勝静に対して強く老中の辞職を促します、しかし幕府と運命を共にすると決意した勝静に方谷の進言は受け入れられることなく、8月に勝静から短刀を賜り帰藩しました。

カレンダーにある「京師寓中作」はその時読まれた漢詩です。

「63才の老残の身である。しかし、我が胸には炎のようなさかんな懐いあがまだ燃えている。都に出てきて半月たった。思い出の鴨川べりをあるきながら、移り変わる世の様をしみじみとみた。
白髪は長く肩をおおい都塵は憚りもなく面をうつ。東洋と西洋を統一した場合、つまり世界史的角度から世の中の変動を認識し、勤王精神にのっとって時勢に対応する、この2つが私の基本的態度であった。だが世の趨勢は意図した物とは別の方向に剥背き去って行った。時代は私の微力を持ってしては、どうすることもできない所に来てしまった。
天を仰ぎ、大笑いして西に帰り去ることしかできない。どんな運命が待ち受けていようと、骨を埋める青山は、どこにでもあるはずだ。」

方谷の感情がそのまましみ出ている時代を映す漢詩です。

そして同年、10月15日、大政奉還がおこなわれました。